急な出費やまとまったお金が必要な際に、年金からお金を前借りできないか考える人は多いですが、厚生年金に加入している人は年金の前借りができるでしょうか?
厚生年金に加入している人が利用できる前借り制度や利用できる人、借りられる金額などについて見ていきたいと思います。
厚生年金の前借り制度
厚生年金の前借りは、福祉医療機構が行っている「年金担保貸付事業」を利用することで借りることができます。
年金担保貸付事業とは、名前の通りですが年金を担保にしてお金を貸してくれるもので、厚生年金だけでなく国民年金に加入している人も利用することができます。
金利は1.9%となっており、一般的なカードローンよりもかなり低金利で借りることができます。
民間の金融機関には、お金を貸し出す際に年金を担保にすることは禁じられていますので、行政法人福祉医療機構以外が年金を担保にお金を貸すことは違法です。
悪徳業者が年金を担保に貸付を行っていますが、このような業者はいわゆるヤミ金で、法外な金利で利息を取られたり、犯罪に巻き込まれたりしますので絶対に利用してはいけません。
前借りできる人
年金担保貸付事業で前借りできるのは、以下の年金証書を保有している人です。
- 厚生年金保険年金証書
- 国民年金・厚生年金保険年金証書
- 船員保険年金証書
- 国民年金証書
- 労働者災害補償保険年金証書
各種共済年金や恩給は、対象になりません。
年金証書を持っている人しか利用できないので、すでに年金を受け取っている人が利用できます。
年金受給開始前の現役世代(65歳未満)の人は利用できません。
前借りというと、年金を受け取る前にこれまで支払った保険料をもとに前借りできるというイメージですが、現役世代の人が年金を前借りすることはできません。
「年金を担保にして実質的に前借りできる」と勧誘してくる業者は、悪徳業者ですので利用してはいけません。
前借りできない人
なお、年金証書を保有している人でも、以下の人は年金担保貸付事業を利用することはできません。
- 生活保護受給中の場合
- ギャンブルに使用する場合
- 公序良俗に反する場合
- 申込者本人の利益に反する場合
- 年金の支給が全額停止されている場合
- 同一の年金で借入金残高がある場合
- 現況届または定期報告書が、未提出または提出遅延の場合
- 反社会的勢力の人または関係を有する人
生活保護を受給している人は利用できませんし、ギャンブルや公序良俗に反することに使用する場合は借りることができないのですね。
前借りできる金額
項目 | 内容 |
---|---|
融資対象者 | 国民年金・厚生年金などの年金証書を持っており、現在、年金の支払いを受けている方 |
融資金額 | 10万円から200万円受給している年金年額の0.8倍以内1回あたりの定額返済額の15倍以内 |
返済方法 | 年金支給機関から独立行政法人福祉医療機構へ直接支払 |
返済金額 | 1万円単位年金支給額の1/3以下 |
融資利率 | 1.9%(労災年金担保貸付は年利1.2%) |
連帯保証人 | 必要(信用保証制度あり) |
担保 | 年金受給権(年金証書) |
年金担保貸付事業で借りられる金額は、10万円から200万円となっています。
また、融資金額は受給している年金額(年額)の0.8倍以内、1回あたりの定額返済額の15倍以内という条件があります。
年金の年額の8割、2年3ヶ月程度で返済ができるような金額のみ借入が可能になっており、借りすぎを防いでいます。
厚生年金前借りの注意点
- すでに年金を受け取っている人のみ利用可能
- 生活保護を受けている人は利用できない
- 借り過ぎに要注意
厚生年金を前借りできるといっても、利用できるのはすでに年金を受け取っている人のみです。
まだ年金の受給を開始していない現役世代の人は、厚生年金の前借りをすることはできません。
現役世代の人であれば、家族や友人からお金を借りるか、消費者金融から借りるか、職場から給料を前借りするか、日払いや週払いのバイトをしてお金を稼ぐなど他の方法を検討する必要があります。
家族や職場で借りることが難しい人や、知り合いから借りるのは抵抗がある人は消費者金融などを利用するのが気楽で良いでしょう。
大手カードローンの中には30日間の無利息サービスがあるところもありますので、そういった会社を利用すれば利息を多く支払う必要もありません。
後、生命保険に加入している人であれば、解約返戻金の範囲内で前借りをすることもできますので、生命保険を前借りできる「契約者貸付制度」の利用も検討してみると良いと思います。
すでに年金を受け取っている人でも、生活保護を受けている人は利用することができませんし、ギャンブルや公序良俗に反することに利用する場合も借りることができません。
また、もちろん借りすぎてしまうと年金生活が破綻してしまいますので、借り過ぎにも十分注意する必要があります。
まとめ
厚生年金を前借りする方法を見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 厚生年金を担保にお金を借りることができる
- 利用できるのはすでに年金を受け取っている人
- 年金担保貸付は悪徳業者が多く注意
厚生年金の前借りは、年金担保貸付事業という行政法人福祉医療機構が行っている年金担保融資制度があり、厚生年金や国民年金を担保にお金を借りることができます。
最大200万円まで借りることができ、金利もカードローンなどよりずっと低く、使いやすくなっていて便利です。
返済も1万円単位で自由に設定することができます。
ただ、利用できるのはすでに年金を受け取っている人で、年金受給がまだ開始していない現役世代の人は前借りすることはできません。
現役世代は年金の前借り以外の方法でお金を用意する必要があります。
年金担保融資は、民間の金融機関や銀行では認められておらず、「年金を担保にお金を貸す」と言われたら違法業者ですので、絶対に借りないように注意しましょう。
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